記録写真集(大阪市交通局 30系)
最盛期は363両が大活躍したが、ついにステンレス車が全滅。残された18両のアルミ車も、まもなく完全引退…。

左:3049F(アルミ) 右:3093F(ステンレス) 2013年2月26日 八尾車庫にて
1967年に日本の鉄道車両として初めて電気指令式ブレーキを装備し、大阪市営地下鉄初の18メートル級車体で4扉のセミス
テンレス車体で登場した7000−8000形の発展型として1968年に登場し、かつては大阪市営地下鉄の第三軌条線区全線にお
いて活躍した車両。

 車体材質は短期間での大量生産を可能とするためアルミ・セミステンレスの2つがあり、アルミ車は車体がフラットです
っきりとしたスタイルだが、セミステンレス車は車体に張られたコルゲートの凸凹が武骨さを醸し出す重厚感溢れるスタイ
ルで、同形式といえども材質の違いで全く印象が異なっている。


1970年までに製造されたグループは全て旧型車の置き換えも兼ねて御堂筋線に大量配備され、旧7000‐8000形を編入した
車両や、北大阪急行が製造・所有し、のちに大阪市交通局に編入する予定だった車両も含めて万国博輸送に大活躍した。

 1973年からは設備を一部改善した「新30系」グループが四つ橋線に1編成のみ登場。こちらは殆ど従来の30系と変わら
ない仕様であったが、1975年には貫通路妻引戸や暖房装置の取り付けなど、接客設備をさらに充実させ、車体構造も変更し
たステンレス車2編成が四つ橋線に、1976年からは旧20系と同じ車体構造のアルミ車を谷町線に6編成(ほぼ同時にセミステ
ンレス車も1編成)導入し、転属に伴い発生した余剰車の有効活用のためにさらに谷町線・四つ橋線・中央線にセミステンレ
ス車が製造され、全盛期には総勢363両の大所帯となっていた。


なお、1973年以降に製造された「新30系」グループについては、製造後20年が経過した1992年以降、一部の車両を除いて
冷房装置の搭載と同時に大規模な更新が施工された。

 外観はこれまでの扉間のみに張られ、中央に通称「コマルマーク」が描かれていた帯から、紫のラインカラーの中に白い
補色帯が入ったものを側面全体に張り付け、アルミ車は車体洗浄とコーティング(47・49Fは未施工?)を、セミステンレス車
は車体下部のコルゲートの撤去と車体洗浄(3493号車は車体下部のコルゲート撤去のみ)を施工。

中間車になる先頭車は同時に中間車化されたが、具体的な資料がないが、運転機器の撤去のみというパターンではなく、車
体下部にコルゲートの跡が残っていたことから、改造種車の乗務員室のブロックを切断し、切断箇所に廃車となった相方の
先頭車の妻側鋼体を接合する手法をとったものと思われる。セミステンレス構造だからこそできたことだろうか?

 車内も徹底的にリニューアルされ、大理石模様が入った床に、壁面には寒色系の内装パネルが貼られ、座席は紫色のもの
に張替。合わせて袖仕切りも設置され、貫通路妻引戸は窓が大型化されたものに交換。すべての扉を更新し、新20系と同等
レベルの接客設備を備えたことで、新車同然の輝きを取り戻した。荷物棚については従来のパイプ式であるが、比較的後期
に施工された3編成(3092・93・99F)については、新20系と同じ金網が採用されている。


1970年の万国博輸送に活躍した1970年までに製造された初期のアルミ車は、軽量化を追求しすぎてしまった結果、冷房を
載せるための車体強度が不足しており、冷房装置が載せられない(載せる場合は車体を補強する必要がある)こと、コストが
かかりすぎることなどから、強度的には大丈夫であったであろう旧7000‐8000形および同年代のステンレス車や余剰となっ
た一部の新30系共々新20系列によって置き換えられ、1995年の地下鉄車両冷房化100%達成と同時に全廃された。


最終的に四つ橋線に所属していた編成も谷町線に転属したことによって全車が谷町線に集結し、セミステンレス車7編成・
アルミ車6編成の78両体制であったものの、30000系によって順次置き換えられていくことが発表され、2009年3月に
3059Fが廃車されたのを皮切りに老朽化が著しいセミステンレス車から廃車が進行し、瞬く間に数を減らしていったが、
2011年度からアルミ車の廃車も挟んだ影響により、しぶとく生き残っていた3093Fも2013年3月1日に廃車回送され、セミ
ステンレス車は全廃された。現在は車内に抗菌・抗ウイルス処理を施し、最後の全般検査と同時に外観の美化整備を行った
アルミ車の3045・47・49Fの計3編成のみが残存しているが、2013年度中に全車が引退する予定である。

アルミ車編成表(2013年4月1日現在) 背景赤色表示:廃車済
編成
←八尾南 組成 大日→
3000-3300-3600-3700-3400-3500
最終全検出場
備考
(全車ブレーキ不緩解灯付き)
廃車回送実施日
(カッコ内は最終運用日)
3045-3345-3645-3745-3445-3545
2011年7月
(30系最終出場車)
2011.7 美化整備施工
(森之宮で施工)
抗菌・抗ウイルス処理施工済

3047-3347-3647-3747-3447-3547
2010年11月
2010.11 美化整備施工
(森之宮で施工)
抗菌・抗ウイルス処理施工済

3049-3349-3649-3749-3449-3549
2011年3月
2011.3 美化整備施工
(森之宮で施工)
抗菌・抗ウイルス処理施工済

3044-3344-3644-3744-3444-3544
2010年3月
異音型電子ホーン(3544のみ)
2011.11 美化整備施工
(大日で施工)
2013.1.12
(2013.1.11)
3046-3346-3646-3746-3446-3546
2009年5月
3046側方向幕ガラス交換
(2009.5 全検時施工)
2011.12 3546側美化整備施工
(大日で施工)
2012.11.2
(2012.10.25)
3048-3348-3648-3748-3448-3548
2008年9月

2011.12.16
(2011年11月中旬)
ステンレス車編成表(2013年4月1日現在) 全車廃車済
編成
←八尾南 組成 大日→
3000-3300-3600-3700-3400-3500
最終全検出場
備考
廃車回送実施日
(カッコ内は最終運用日)
3059F
3059-3359-3659-3759-3459-3559
2008年7月
従来車体
外釣り貫通路妻引き戸
【黄字:3659・3759除く】
両先頭車の前照灯は白熱灯
ブレーキ不緩解灯付き
2009.3.30
(2009.3.30)
3060-3360-3660-3760-3460-3560
2006年6月
従来車体
白熱灯タイプ前照灯ケース
(電球はシールドビーム)
前面幌金具留め具付き
外釣り貫通路妻引き戸
【黄字:3060のみ】
ブレーキ不緩解灯付き
2010.3.29
(2010.3.29)
3061-3361-3661-3761-3461-3561
2007年10月
ブレーキ不緩解灯付き
2010.6.11
(2010.6.9)
3089-3389-3689-3789-3489-3589
2009年8月

2010.7.30
(2010.7.26)
3092-3392-3692-3792-3492-3592
2009年1月
荷物棚は新20系と同様
2011.9.23
(2011.9.21)
3093-3393-3693-3793-3493-3593
2009年6月
荷物棚は新20系と同様
2011.11 3593側貫通扉再塗装
2012.1 3093側貫通扉再塗装
(いずれも大日で施工。非光沢)
2013.3.1
(2013.3.1)
3099-3399-3699-3799-3499-3599
2008年5月
荷物棚は新20系と同様
両先頭車貫通扉再塗装
(2008年全検時施工)
2012.1.7
(2011.12.28or29)
(※1)3059Fの4両と3060号車の従来車体について:1970年までに製造された30系ステンレス車と同じ構造の車体(現在は全廃)。
昭和50年以降に製造された車両の車体と比べ、側と妻の接合部の処理(新30系タイプのステンレス車体はボルトで接合)などが異なる。
(※2)美化整備内容:前面方向幕ガラス交換・貫通扉再塗装